改正個人情報保護法 -管理組合は何をすればいい?

      2017/08/25

平成29年5月30日に施行された改正個人情報保護法について、管理組合が対応すべき項目についてまとめてみました。

1.管理組合は「改正個人情報保護法」の規制対象 

管理組合は、新たにマンションを購入した区分所有者に対して、氏名等の届出義務を課しています。

標準管理規約31条:

届出義務

新たに組合員の資格を取得し又は喪失した者は、直ちにその旨を管理組合に届け出なければならない。

 

届出書の様式(標準管理規約コメント31条関係)

標準管理規約では、部屋番号と氏名の届出を規定していますが、一般的にはこの他に、電話番号、緊急時の連絡先、同居者の氏名・年齢等の情報も収集し、名簿にまとめている管理組合も多いと思います。

これらの個人情報を収集する管理組合は、改正個人情報保護法の規制対象となる「個人情報取扱事業者」になるということを、まず頭に入れておかなければなりません。

では、法を守るために何をすればいいのか?簡単にまとめると、以下のとおりです。

  個人情報の取得・利用・保管・開示についてルールを定め、運用すること  

*「ルールを定め」とは、管理規約又は使用細則に定めるということです。

2.具体的な対応 

(1)個人情報の取得・利用

①個人情報を集める前に

⇒利用目的の特定:あらかじめ個人情報の利用目的を特定しておく。(使用細則に規定する)

☆使用細則例

(名簿の利用目的)

名簿は、次の各号に掲げる目的のために利用するものとし、他の目的に利用してはならない。

  1. 総会の開催案内、決議事項等の通知
  2. 理事会の開催案内、決議事項等の通知
  3. 管理規約第〇条(業務)に定める管理組合業務の遂行
  4. 管理規約第〇条(業務の委託等)に定める管理組合業務の全部または一部をマンション管理業者等に委託し、または請け負わせて行う業務
  5. 地震・火災等の災害発生時の居住者安否確認用
  6. その他理事会が必要と判断した業務の遂行

②本人から個人情報を集めるとき

⇒利用目的の通知・公表:本人から書面で個人情報を取得する際には、本人に対して利用目的を明示する。(個人情報を集める際に配布する用紙に利用目的を記載しておく)

(2)個人情報の保管

①安全に管理するための措置をとる(安全管理措置)

  • 紙の名簿は、鍵のかかる書庫・引き出しで保管する。
  • パソコン上の名簿にはパスワードを設定する。
  • 名簿を管理するパソコンにはウイルス対策ソフトを入れる。

②保有する個人情報の訂正

集めた個人情報の内容に誤りがあったときに、訂正を求める場合の問い合わせ先等を明示し、請求に応じて訂正する。

  • 「名簿訂正申請書」などの書式をあらかじめ準備しておく。

③保有する個人情報の更新

正確で最新の内容に保ち、必要がなくなったときにはデータを消去するよう努める。また管理組合役員に対して、必要かつ適切な管理を行う。

役員が管理組合で保有する個人情報を私的に使ったり、言いふらしたりしないようにルールを定めておく。

(3)個人情報の開示

①本人の同意の取得

本人以外の者に個人情報を提供する場合は、あらかじめ本人の同意を得る。

ただし、法令に基づく場合(警察や消防からの照会)、人の生命・財産を守る場合(災害発生時の安否確認)、委託先に提供する場合(名簿を冊子にする際に、印刷業者に名簿を提供する場合)などには同意を得なくても提供できる。

②提供に関する記録義務

提供先を記録し、一定期間保管する。

③委託先の管理

個人情報を委託先に提供する場合には、適切な監督を行う。

【委託先に対する個人情報の適切な管理についての確認方法】

  • 個人情報が(法に則って)適切に取り扱われているか、委託先の状況を口頭又は書面で確認する。
  • 情報の持ち出し禁止、委託された業務以外の利用禁止、返却・廃棄の方法等の事項が記載された書面を渡す。
  • 管理会社に対しては、管理委託契約の中に、「組合員等に関する個人情報について、その適正な取り扱いの確保に努めなければならない。」旨の規定を設ける。(標準管理委託契約書16条2項参照)

3.その他の注意事項 

(1)総会議事録・理事会議事録の記載

総会議事録や理事会議事録に個人が特定されるような記述をする際には注意が必要です。特定の個人の曖昧な事実について、個人を特定するような記述は後でトラブルに発展する可能性があります。

※役員の承認や、特定の組合員に対する訴訟を提起する際など、議事録が事実証明書類になる場合には個人名の記述が必要になります。

(2)利用目的に沿った開示方法をあらかじめ決めておく

例えば、標準管理規約44条には「組合員の総会招集権」が規定されています。このとき組合員は、標準管理規約64条に基づいて理事長に対し、組合員名簿の閲覧を請求することになります。これは総会招集通知を出すためですが、理事長は通知を出すために必要な情報(組合員氏名、部屋番号、住所等)以外は閲覧させる必要がないのですから、もし組合員名簿に勤務先や同居の家族の氏名等の情報が載っているのであれば、あらかじめ標準管理規約44条に基づく組合員名簿閲覧請求用の名簿を作っておく必要があると思います。

 

 

 

 

 

 

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