Nスペ ”長周期パルスの衝撃”

      2017/09/09

都市圏活断層整備図(国土地理院HPより

先週末に放送されたNHKスペシャル「MEGA CRISIS 都市直下地震 新たな脅威 “長周期パルス”の衝撃」(以下、「Nスペ」という。)を見ました。

これまでは、東日本大震災のときに、震源から遠く離れた東京の高層ビルがユラユラと揺れていた「長周期地震動」については報道等で知っていましたが、それとは違う種類の揺れ「長周期パルス」という揺れが、特に大都市の超高層ビルに深刻な被害を及ぼす可能性があるという内容でした。

放送では、「長周期パルス」は、地表に断層が現れるような地震で、地面が大きく動くことにより発生する考えられているとのこと。さらに、マグニチュード7クラスの活断層型地震が発生すると国が想定している活断層113箇所の中で、特に人口が集中する都市の危険性が指摘されていましたが、やはりというか、私の住む福岡の警固断層が挙げられていました。

警固断層については過去記事にまとめていますが、今後30年以内の地震発生確率が警固断層南東部で、0.3%~6%と高い確率になっていることは忘れてはなりません。

☆過去記事「警固断層帯・南東部の地震発生確率

今回は、放送の中で気になったことなどを調べてみました。

1.長周期パルスとは?

長周期パルスとは、昨年(2016年)4月に発生した熊本地震で、国内の直下型地震で初めて観測された「特殊な揺れ」のことです(Nスペ)。

地震が起きると地面が揺れますが、その揺れのことを「地震動といい、その揺れが一往復する時間を「周期といいます。

地震動は、その「周期」によっていくつかの種類に分けられます。

(1)短周期 地震動

周期が約0.5~1秒ほどの揺れ

(2)やや短周期 地震動

周期が約1~2秒ほどの揺れ

建物には固有の揺れやすい周期(固有周期)があります。地震波の周期と建物の固有周期が一致すると「共振」して、建物が大きく揺れます。

戸建住宅などの低層建造物は、この1~2秒間の揺れが最も揺れやすく、倒壊などの被害もおきやすくなります。

阪神・淡路大震災で大きな被害をもたらしたのが、この1~2秒の「やや短周期地震動」で、別名「キラーパルス」と呼ばれています。

(3)長周期 地震動

周期2秒以上の揺れ

東日本大震災のような規模の大きい地震(プレート型地震)が発生すると、周期の長いゆっくりとした大きな揺れ(地震動)が生じます。このような地震動のことを長周期地震動といいます。

高層ビルの固有周期は低い建物の周期に比べると長いため、長周期の波と「共振」しやすく、 共振すると高層ビルは長時間にわたり大きく揺れます。 また、高層階の方がより大きく揺れる傾向があります。

☆短い周期の地震動と長周期地震動による揺れとの違い(出典:気象庁HPより

短い周期の地震動と長周期地震動による揺れとの違い

高層ビルは、短い周期の揺れに対しては、「柳に風」のように、揺れを逃がすよう柔らかくできていますが、長い周期の揺れがあると共振してしまい、大きく・長く揺れることがあります。

(4)長周期パルス(今のところ明確な定義はないようです)

阪神・淡路大震災において、戸建て住宅に甚大な被害をもたらした約1~2秒間の「やや低周期 地震動(キラーパルス)」に対して、長周期パルスは、周期3秒ほどの長周期の揺れが大きな変位を伴って一気に襲うもので、もし、都市地域に長周期パルスを伴う直下型地震が発生したならば、特に高層建築物への被害が甚大になる可能性がある(Nスペ)というものでした。

☆熊本地震と阪神・淡路大震災の揺れの比較(出典:NHKおはよう日本HPより

 

2.長周期パルス対策

長周期パルスへの対策として、Nスペでは以下の対策をあげていました。

(1)個人でできること

(2)技術的な対処

  • スイッチダンパー(免震装置。中~大地震時にはダンパーは作動しないが、巨大地震が発生するとダンパーが作動する。愛知県半田市庁舎に採用されていることが紹介された。)
  • 振り子式の制震装置(超高層建物の揺れを低減させる屋上設置型の振子式制震装置)
  • フロートシティ(空気の力で建物を浮かし地震の揺れ遮断する装置を発展させ、街そのものを浮かせてしまおうという発想)

※ 素人の私が詳細を説明するのはキビシイので、興味がある方はググってみてください!

管理組合で話し合って設置できそうなものもありました。

  • 非常用階段避難車(エレベーターが停止したときなどの非常時、自立歩行ができない方を階下に降ろす際に、安全・快適にかつ素早く避難することが可能となる。)

「非常用階段避難車 使い方」の画像検索結果

3.忘れてはならない福岡県西方沖地震の教訓

(1)地震の概要

2005年(平成17年)3月20日10時53分頃、福岡県西方沖を震源(深さ9km)とするマグニチュード7の地震が発生し、福岡県の福岡市(東区、中央区)、前原市及び佐賀県みやこ町で震度6弱を観測したほか、九州北部を中心に九州地方から関東地方の一部にかけて震度5強~1を観測した。

  • 本震     2005年(平成17年)3月20日10時53分頃
  • 震源地    福岡県西方沖
  • 震源の深さ  約9km
  • 規模     M7.0
  • 最大震度6弱 福岡市東区・中央区、前原市、佐賀県 みやき町                                                          ※西区玄海島は63月20日時点で震度計が未設置で震度不明
  • 余震     2005年(平成17年)4月20日6時11分頃
  • 震源地    福岡県西方沖
  • 震源の深さ  約14km
  • 規模     M5.8
  • 最大震度5強 福岡市博多区、中央区、南区、早良区ほか

(2)人的被害の概要

ブロック塀の倒壊により1名が亡くなったほか、転倒、家屋の倒壊や落下物による負傷、熱湯によるやけどにより負傷者が発生した。(死者1名、重傷者164名、軽症者874名)

(3)住家被害の概要

震源との位置関係と考えられるが、東区志賀島、西区玄海島、西浦、宮浦をはじめ、農漁村を中心に家屋被害が著しく、被害は全市域にわたった。
また、市街地では都市型マンションの共用部分などに大きな被害を生じたほか、古いビルなどに倒壊の危険が生じるなどの被害がみられた。
なお、地震規模に比較して市街地や住宅地での大規模な倒壊は生じておらず、また、火災は1件も発生しなかった。

全壊      141 (  0)
大規模半壊     8 (  0)
半壊      315 ( 13)
一部損壊   4756 (151)
計      5220 (164)  ※( )は共同住宅の棟数

以上、福岡市HPの平成20年版福岡県西方沖地震記録誌から抜粋しました。

 

西方沖地震は今からもう12年前のことです。

でもそれは一人の人間の感覚であって、地球規模からすると、極端にいえば数時間前、いや数分前に起こった地震といえると思います。。

西方沖地震は震源が海域だったため、地震の規模(M7)にしては被害は大きくありませんでしたが、それでも地域によっては大きな被害を受け、精神的なショックを受けた方も多かったと思います。

マンションの被害としても、内外壁のせん断亀裂、タイル・コンクリート壁・庇の落下、玄関扉・窓・サッシの変形・開閉不能、室内家具の倒壊、電気温水器の転倒、窓ガラスの破損、敷地陥没等が発生しました。

いま地震が発生したら、そして、Nスペで指摘された長周期パルスが発生したら、マンションはどうなるでしょうか?いたずらに危機をあおってはいけませんが、少しづつでも着実に対策を考え、実施していかなくてはならないと思っているところです。  …END

 

 

 

 

 

 

 

 

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