マンション管理組合は、新法民泊と従来型民泊の違いを理解して早めの合意形成を!

   

2017年6月17日 住宅宿泊事業法(民泊新法)成立

1年以内に施行の予定なので、来年2018年6月までには施行されます。

マンション管理組合としては、民泊を容認するか、禁止にするのか早急に合意形成を図る必要があります。

合意形成は、(民泊検討委員会)→ 理事会 → 総会 で行ってください。

最低でも、基本的事項(民泊を認めるか認めないか)については合意形成をしておきましょう。細かいことは後回しでも構いません。

そして、それを全区分所有者及び居住者に周知しましょう。

☆合意形成のポイントは過去記事を参照してください。管理組合における合意形成のポイント

 

さて今回は、これまでの民泊の記事を私なりにまとめてみようと思います。

いろいろ書いてきましたが、私の頭の中でも混乱している部分もありまして・・・

 

1.民泊の種類

 

民泊といっても色々な種類があります。

今はまだ住宅宿泊事業法(民泊新法)は施行されてませんから、

下の表で言えば、

大きく分けて、簡易宿所営業民泊特区民泊違法民泊の3種類の民泊が存在していることになります。

(※この3種類を「従来型民泊」と勝手に呼んでいます。また、「合法民泊」「違法民泊」は公式な名称ではありません。当然、違法民泊を認める趣旨ではありませんので、ご理解ください。違法民泊はダメです。)

合法民泊 旅館業法民泊 簡易宿所営業民泊 旅館業法の許可を取得して営業する宿泊形態(旅館業の一種)。宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業のこと(旅館業法2条4項)
農林漁業体験民宿 簡易宿所営業の要件を緩和して、農林漁業の体験と宿泊をセットにした宿泊形態
特区民泊 国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例制度を活用した宿泊形態(東京都大田区、大阪市、北九州市など)
イベント民泊  年数回程度(1 回当たり 2~3 日程度)のイベント開催時であって、宿泊施設の不足が見込まれることにより、開催地の自治体の要請等により自宅を提供するような公共性の高いものについて、「旅館業」に該当しないものとして取り扱い、自宅提供者において、旅館業法に基づく営業許可なく、宿泊サービスを提供することを可能とするもの。(厚生労働省イベント民泊ガイドラインより)
住宅宿泊事業法民泊 旅館業を営む者以外の者が、宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数が1年間で180日を超えない宿泊形態

違法民泊(ヤミ民泊、隠れ民泊)

法令上の許可・認定を受けていないもの、届出をしていないもの

管理組合が民泊を認めたとしても、禁止したとしても、一番厄介なのは違法民泊になると思います。ある日突然、

エントランスに外国人の集団が現れたり、夜中にバルコニーで宴会を始めたり、ゴミ出し日ではないのにゴミが出されていたり、

これまで保たれていたマンションの秩序が崩れてしまう、そんな事態が訪れないとは限りません。

まずは、民泊という国が大推進している仕組みを理解していなければ始まりません。

国は2020年までに外国人観光客4000万人を目指していますが、宿泊施設が圧倒的に不足しています。

宿泊施設不足解決の切り札である民泊の推進、この流れは止められないと思って対策を取ることが必要なのです。

 

2.民泊種別ごとの比較

 

  旅館業法民泊 特区民泊 住宅宿泊事業法(民泊新法)
所管庁 厚生労働省・保健所 内閣府 国土交通省・観光庁
営業形態 簡易宿所営業 簡易宿所営業(条件緩和) 家主居住型 (ホームステイ型) 家主不在型 (ホスト不在型)
行政申告 都道府県知事の許可 特区行政機関の認定 都道府県知事への届出
行政への手続者 事業者 事業者 事業者
契約形態 宿泊契約 賃貸借契約 宿泊契約
営業日数上限 なし なし 180日
宿泊日数制限 なし 2泊3日以上 (*1) なし
実施エリア 全国 特区 全国
住居専用地域での営業 不可 不可    (*2)
苦情受付者 事業者 事業者 家主   (事業者) 住宅宿泊  管理業者
行政の立入検査 あり 条例で制定 あり
居室の床面積制限 3.3㎡以上  (*3) 25㎡以上 なし
フロント設置 不要    (*4) 不要 不要
標識の掲示 必要 必要 必要
宿泊者名簿 必要 必要 必要
自動火災報知機 必要 必要 未定

*1 東京都大田区は6泊7日(6月末、利用日数制限の短縮を検討するとの報道あり)

*2 条例で特区民泊の用途地域制限をなくしている自治体もある

*3 一度に宿泊させる宿泊者の数が10人未満の施設の場合

*4 条例でフロント設置を義務付けている自治体もある

 

国は民泊を推進しています。

これまでは、一般の分譲マンションの一室で、簡易宿所営業許可を取って民泊を始めるというのは、ほとんどムリな話しでした。

(用途変更や、消防法・建築基準法上の設備・構造等の基準をクリアーできない)

だから国は、新しい法律をつくって、よりハードルを下げた条件で、マンションの一室単位でも民泊ができるようにしたのです。

民泊が良い悪いの話しではありません。

それぞれのマンションの置かれた状況によっては、民泊を可能にしたほうがいい場合もあります。

そこで、次は、より民泊営業を現実的なものにした「住宅宿泊事業法」について、しっかり理解したいと思います。

 

3.住宅宿泊事業法による民泊

 

下図は観光庁HPの住宅宿泊事業のフロー図です。 

☆観光庁「住宅宿泊事業法案概要

まずは、言葉の定義を押さえておきましょう。

※条文は分かりづらいので、飛ばして読んでもらって構いません。

住宅宿泊事業法2条 定義

1項 この法律において「住宅」とは、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する家屋をいう。

一 当該家屋内に台所、浴室、便所、洗面設備その他の当該家屋を生活の本拠として使用するために必要なものとして国土交通省令・厚生労働省令で定める設備が設けられていること

二 現に人の生活の本拠として使用されている家屋、従前の入居者の賃貸借の期間の満了後新たな入居者の募集が行われている家屋その他の家屋であって、人の居住の用に供されていると認められるものとして国土交通省令・厚生労働省令で定めるものに該当すること。

2項 この法律において「宿泊」とは、寝具を使用して施設を利用することをいう。

住宅宿泊事業法の対象となる『住宅』の要件ですが、

対象となる「住宅」には、

  • 台所
  • 浴室
  • 便所
  • 洗面設備

があること、その他に政令で定める「生活の本拠として使用するために必要なもの」

が備わっている必要があります。

さらにこの「住宅」は、現に人が住んでいる住宅でもいいし、

賃貸借契約が終わって新しい借主を募集中の住宅でもいいとしています。

『宿泊』は、寝具(ふとん、まくら、ベッド等)の提供・管理(交換、洗濯等)を業者側が行う場合になります。

3項 この法律において「住宅宿泊事業」とは、旅館業法第3条の2第1項に規定する営業者以外の者が宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数として国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより算定した日数が1年間で180日を超えないものをいう。
4項 この法律において「住宅宿泊事業者」とは、次条第1項の届出をして住宅宿泊事業を営む者をいう。

『住宅宿泊事業』とは、宿泊料をとって住宅に人を宿泊させ、営業日数が180日までの事業ということになります。

180日を超える民泊営業は、旅館業許可が必要となります。

※住宅宿泊事業には、「家主居住型」と「家主不在型」の2種類の形態があります。

家主居住型(ホームステイ型) 住宅提供者が、住宅内に居住しながら、当該住宅の一部を利用者に利用させるもの
家主不在型(ホスト不在型) 住宅提供者が、自分で住んでいない住宅を利用者に利用させるもの

 

『住宅宿泊事業者』とは、都道府県知事等への届出をして、住宅宿泊事業を行う者(個人・法人)をいいます。

5項 この法律において「住宅宿泊管理業務」とは、第五条から第十条までの規定による業務及び住宅宿泊事業の適切な実施のために必要な届出住宅(次条第一項の届出に係る住宅をいう。以下同じ。)の維持保全に関する業務をいう。
6項 この法律において「住宅宿泊管理業」とは、住宅宿泊事業者から第十一条第一項の規定による委託を受けて、報酬を得て、住宅宿泊管理業務を行う事業をいう。
7項 この法律において「住宅宿泊管理業者」とは、第二十二条第一項の登録を受けて住宅宿泊管理業を営む者をいう。

住宅宿泊事業の2つの形態のうち、一定の居室数を超えたり、家主不在型の民泊の場合は、

その管理を『住宅宿泊管理業者』に委託しなければなりません。(第11条1項)

家主不在型は、家主居住型に比べ、

騒音・ゴミ出し等による近隣トラブルや施設の悪用の危険性が高まり、

また、近隣住民からの苦情の申し入れ先も不明確になるおそれがあります。

したがって、「家主不在型」民泊については、届出を行うだけでなく、

住宅提供者(ホスト)が『住宅宿泊管理業者』に管理を委託することを義務付し、

適正な管理や安全面・衛生面を確保することを求めているのです。

なお、『住宅宿泊管理業者』は国交省の登録を受けなければなりません。

8項 この法律において「住宅宿泊仲介業務」とは、次に掲げる行為をいう。

一 宿泊者のため、届出住宅における宿泊のサービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次ぎをする行為

二 住宅宿泊事業者のため、宿泊者に対する届出住宅における宿泊のサービスの提供について、代理して契約を締結し、又は媒介をする行為

9項 この法律において「住宅宿泊仲介業」とは、旅行業法第6条の4第1項に規定する旅行業者以外の者が、報酬を得て、前項各号に掲げる行為を行う事業をいう。
10項 この法律において「住宅宿泊仲介業者」とは、第四十六条第一項の登録を受けて住宅宿泊仲介業を営む者をいう。

住宅提供者(ホスト)と利用者(ゲスト)のために両者を代理して契約し、

またはその媒介をし、取次をすることを『住宅宿泊仲介業務』といいます。

そして仲介業務を行う者が『住宅宿泊仲介事業者』というわけです。

現在も民泊施設を探す場合は、マッチッグサイトと呼ばれる民泊仲介サイトが利用されていますが、法施行後は、サイト運営者(住宅宿泊仲介業者)は観光庁の登録を受けなければなりません。

...END

 

 

 

 

 - 民泊