民泊の可否を使用細則に定めるのは… 

      2017/09/12

8月29日、住宅宿泊事業法に基づく「民泊」に関する標準管理規約の改正

国交省から発表されました。

パブリックコメントでの改正案については過去記事でも紹介しましたが、

下記に紹介する1点を除いて、ほぼ案どおりの内容で発表されています。

☆過去記事「住宅宿泊事業法の制定に伴うマンション標準管理規約の改正案について

住宅宿泊事業法(民泊新法)が成立

 

さて追加された1点ですが、12条関係コメント④になります。

※改正案のときの④を⑤に繰り下げて、新たな④を追加しています。

12条関係コメント④

新規分譲時の原始規約等において住宅宿泊事業の可否を使用細則に委任しておくこともあり得る。

〔住宅宿泊事業の可否を使用細則に委任する場合〕

第12条

1. 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用 するものとし、他の用途に供してはならない。

2. 区分所有者が、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1 項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することを可能とするか否かについては使用細則に定めることができるものとする。

この「新規分譲時の原始規約等において、

住宅宿泊事業の可否を使用細則に委任する」の文言は、

パブリックコメント時の改正案にはなかったものです。

国交省は、なぜこのようなコメントを追加したのでしょうか?

 

使用細則は、総会の普通決議(出席者の過半数)で決議することができます。

ということは、民泊可能として売り出したマンションが、

後に過半数の意見で民泊が禁止になる、

あるいは、民泊禁止マンションが、後から過半数の意見で民泊可能なマンションになる

ということです。

管理規約で民泊の可否を規定する場合、それを変更するには3/4以上の賛成が必要になります。

さらに、管理規約を変更する場合、その変更が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、

その区分所有者の承諾を得なければならないという区分所有法(31条後段)の規定もあります。

例えば、民泊可能マンションで民泊禁止にしようとする場合は、

民泊事業者である区分所有者の承諾が必要になるということです。

区分所有法31条1項

規約の設定、変更又は廃止は、

区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によってする。

この場合において、規約の設定、変更又は廃止が

一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。

したがって、民泊の可否を使用細則に規定するのと、管理規約に規定するのとでは、

ルール変更のハードルが違うということを頭に入れておかなければなりません。

使用細則に規定することにより、変更のハードルを低くして、

現状での民泊を禁止しても、将来の民泊導入を行いやすくしようとするか、

やはり民泊をマンションの使用方法の重要な事項として、管理規約にしっかり定め、変更のハードルをあげておくか、

これは管理組合で議論すべきところになるでしょう。

 

ただ、これまでの標準管理規約では、第18条〔使用細則〕の条文で

対象物件の使用については、別に使用細則に定めるものとする。

と規定し、そのコメントでは

①専有部分の使用に関するものは、その基本的な事項は規約に定めるべき事項である。

②基本的な事項を規約で定め、手続等の細部の規定を使用細則等に委ねることは可能である

としています。

基本的事項はあくまで管理規約に定め、

規約の範囲内で具体的なルールの内容や手続きを使用細則に定めるという趣旨です。

そうであれば、専有部分を民泊に使用するか否かについては、

基本的な事項であり、規約に定めるべき事項ではないかと思いますが、

このあたりの整合性はどうなるのでしょうか?

いずれにしても、

来年(2018年)6月までに施行が予定される住宅宿泊事業法による民泊の可否について、

管理組合として態度を明らかにしなければならない時期が迫っている

ことだけは間違いありません。

 

 

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