機械式駐車場の維持管理の指針 

   

国交省(都市局街路交通施設課)は「機械式駐車場設備の適切な維持管理に関する指針」を初めて策定しました。

専門知識のないビルオーナーや管理組合などでも自ら管理する駐車場がきちんと保守点検されているか確認できるチェック項目等が盛り込まれています。

1.指針の概要

これまでの機械式駐車設備の維持管理に係る課題としては、

適切な知識や技術力を持った保守点検業者をどのように選定すれば良いか?
保守点検の業務内容や責任範囲について、どのように契約上、明確化するか?
不具合情報等を把握し、確実に保守点検業者へ引き継ぐための仕組みはどうすべきか?

などがありました。そこで、この指針では、

管理者・所有者、設置者、保守点検事業者及び製造者のそれぞれの役割 第1章
機械式駐車場設備の適切な維持管理のために管理者等がなすべき事項 第2章
管理者等が保守点検事業者の選定にあたって留意すべき事項 第3章、別表2
保守点検契約に盛り込むべき事項のチェックリスト 第4章、別表3
機械式駐車設備標準保守点検項目、点検周期の目安

が示されています。

※指針は、第1章~第4章、別表1~別表3、保守点検項目表、点検周期の目安表で構成されています。

2.指針における用語の定義(別表1)

設置者 ・機械式駐車設備の仕様を決定し設置した建築主等をいう。
所有者 ・機械式駐車設備の所有者をいう。
管理者 ・一義的には機械式駐車設備の所有者をいう。
・または、所有者から、保守点検事業者と機械式駐車設備の保守点検契約の締結とそれに伴う運営を委託された者をいう。
製造者 ・機械式駐車設備の製造を業として行う者をいう。
・ただし、製造者が製造、供給又は指定した部品を、保守点検事業者がそれ以外の部品に交換した場合においては、当該保守点検事業者が製造者となる。
保守点検事業者 ・管理者からの委託により保守・点検を業として行う者をいう。
点検 ・機械式駐車設備の機能、損傷、変形、摩耗、腐食、発生音等に関する不具合の有無を調査し、保守その他の措置が必要かどうかの判断を行うことをいう。
保守 ・機械式駐車設備の点検に伴う必要な清掃、注油、調整、部品交換、消耗品の補充・交換を行うことをいう。
保全計画 ・保守点検事業者が設置環境・使用頻度・経年劣化を考慮して立案する機能維持を図るための長期的な計画をいう。
周期 ・点検を実施する間隔をいう。

3.関係者の責任

(1)管理者の責任

機械式駐車設備を駐車場法施行令に定める技術的基準に適合するよう維持すること。
必要な知識・技術力等を有する保守点検事業者を選定し、「保守点検契約」を締結後、保守・点検を適切に実施させること。
機械式駐車設備の安全な運用を確保するために必要である場合は、速やかに自ら保守その他の措置を講じ、又は保守点検事業者若しくは製造者若しくは設置者に対して当該措置を講じさせ、機械式駐車設備の安全性の確保を図ること。
標識の掲示、アナウンス等により、機械式駐車設備の利用者等に対して安全な利用を促すこと。

※一部抜粋

(2)設置者の責任

製造者が提出している操作に関する説明書及び利用上の注意事項、設置段階でやむを得ず残留する危険性、適正な使用方法等に関する文書等を管理者に提出すること。
設置した機械式駐車設備において、設置者の責めに帰すべき事由に基づく不具合等により安全な運用に支障の生じるおそれが判明した場合には、速やかに当該機械式駐車設備の管理者に対してその旨を伝え、必要な措置を講じるとともに、講じた措置の内容を文書等により報告すること。

※一部抜粋

(3)保守点検業者の責任

保守点検契約に基づき、適切に保守・点検の業務を行うとともに、管理者に対して保守・点検の結果(不具合情報を含む)を文書等により報告すること。
点検の結果、保守点検契約の範囲を超える修理又は機能更新が必要と判断した場合は、その判断理由を文書等により管理者に対して十分に説明を行うこと。
保守・点検の結果、安全な運用に支障が生じるおそれがあると判断した場合又は不適切に利用されている状況を確認した場合は、速やかに管理者へその旨を伝えること。
保守・点検をした機械式駐車設備において、保守点検事業者の責めに帰すべき事由に基づく不具合等により、安全な運用に支障の生じるおそれが判明した場合には、速やかに当該機械式駐車設備の管理者に対してその旨を伝え、必要な措置を講じるとともに、講じた措置の内容を文書等により報告すること。

※一部抜粋

(4)製造者の責任

製造した機械式駐車設備の部品等を当該機械式駐車設備の設置時から起算した耐用年数を勘案して適切な期間供給すること。当該部品等がない場合は、代替品の検討を行い、当該代替品を供給すること。
製造した機械式駐車設備において、製造者の責めに帰すべき事由に基づく不具合等により安全な運用に支障の生じるおそれが判明した場合には、速やかに当該機械式駐車設備の管理者に対してその旨を伝え、必要な措置を講じるとともに、講じた措置の内容を文書等により報告すること。

※一部抜粋

4.適切な維持管理のために管理者がなすべき事項

定期的な保守・点検 ①管理者は保守点検契約に基づき、機械式駐車設備の使用頻度等に応じて、定期的に、保守・点検を保守点検事業者に行わせるものとする。(自ら適切に保守・点検を行う場合を除く)
②管理者は、保守点検事業者に保守・点検を委託する場合は、保守点検事業者が適切に保守・点検を行うために必要な文書等を保守点検事業者に閲覧させ、又は貸与するものとする。
③管理者は、保守点検事業者に保守・点検に関する作業報告書を提出させるものとする。
なお、管理者が自ら保守・点検を行う場合は、管理者が保守・点検に関する作業記録を作成するものとする。
不具合発生時の対応 ①管理者は、機械式駐車設備に不具合が発生したと判断した場合は、速やかに当該機械式駐車設備の使用を中止し、(自ら保守・点検を行っている場合を除き)保守点検事業者又は製造者に対して必要な措置を講じさせるものとする。
②管理者は、保守点検事業者又は製造者に不具合に関する作業報告書を提出させるものとする。
(管理者が自ら保守・点検を行う場合は、管理者が不具合に関する作業記録を作成するものとする。)
事故・災害発生時の対応 ①管理者は、人身事故が発生した場合は、応急手当その他必要な措置を速やかに講じるとともに、消防、警察、都道府県(市の区域内にあっては市)の駐車場担当部局へ連絡するものとする。
②管理者は、保守点検事業者に事故・災害に関する作業報告書を作成させるものとする。
(管理者が自ら保守・点検を行う場合は、管理者が事故・災害に関する作業記録を作成するものとする。)
機械式駐車設備の安全な利用を促すための措置 ①管理者は、標識の掲示、アナウンス等によって機械式駐車設備の利用者に対してその安
全な利用を促す措置を講じるものとする。
②管理者は、機械式駐車設備の安全性が確保されていないと判断した場合は、速やかにそ
の使用を中止し、保守点検事業者にその旨連絡するものとする。(管理者が自ら保守・点検を行う場合は、管理者が必要な措置を講じるものとする。)
文書等の保存・引継ぎ等 ①管理者は、保守点検事業者が適切に保守・点検を行うために必要な文書等を当該機械式駐車設備の廃止まで保管するものとする。
②管理者は、管理者が変更となる場合にあっては、前項の文書等を保守点検事業者に閲覧
させ、又は貸与することができるようにし、次の管理者に引き継ぐものとする。
③管理者は、建築物の維持管理に関する計画等において、機械式駐車設備に関する事項を
盛り込むとともに、その使用頻度、劣化の状況等を踏まえ、適時適切な見直しを行うもの
とする。

※一部抜粋

5.保守点検事業者の選定にあたって留意すべき事項

(1)選定の考え方

管理者は、保守点検事業者の選定に当たって、価格のみによって決定するのではなく、必要とする情報の提供を保守点検事業者に求め、専門技術者の能力と保有人員、同型又は類似の機械式駐車設備の保守・点検業務の実績、緊急時の対応能力その他の業務遂行能力等を総合的に評価するものとする。

※一部抜粋

(2)保守点検事業者に対する情報提供

管理者は、保守点検事業者の選定に当たっては、あらかじめ、保守点検事業者に対して委託しようとする業務の内容を明確に提示するとともに、保守点検事業者の求めに応じて保守・点検を行うために必要な文書等を閲覧させるものとする。

※一部抜粋

(3)保守点検事業者の知識・技術力等の評価

管理者は、保守点検事業者の機械式駐車設備に関する知識・技術力等を評価する際には、別表2に示す「保守点検事業者の選定に当たって留意すべき事項のチェックリスト」を参考としつつ、必要に応じて、保守点検事業者に関係資料の提出を求め、又は保守点検事業者に対するヒアリング等の実施に努めるものとする。

※一部抜粋

6.保守点検契約に盛り込むべき事項

管理者は、保守点検事業者と保守点検契約を締結する際には、契約金額等の契約に関する一般的な事項に加えて、別表3に示す「保守点検契約に盛り込むべき事項のチェックリスト」を参考としつつ、機械式駐車設備の適切な維持管理の確保に努めるものとする。

※一部抜粋

☆参考HP 国土交通省:機械式駐車設備の維持管理指針

7.まとめ

機械式駐車場に関しては重大事故が多発していますので、設置者・所有者・管理者・保守点検業者・製造者の責任を明確にしておくこと及び、指針にはありませんが使用者(利用者)にも設備の使用ルールを守るなどの責任を明確にしておくことが重要です。

また、建物の維持管理の計画の中に機械式駐車場設備に関する事項を盛り込むことも示されています。これは長期修繕計画の中に盛り込めばよいのですが、機械式駐車場のメンテナンスは細かな部品交換など非常に項目が多いものですから、別途、管理組合として保守点検業者や、場合によっては製造者(メーカー)から直接メンテナンス計画を入手することをお勧めします。

最後に、この指針ですが、個人的にはエレベーターの維持管理、保守点検業者を変更する場合等にも参考として使えるのではないかと感じました。 END

 

 

 

 

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