国交省『外部専門家の活用ガイドライン』の概略(2)

      2017/10/06

前回に続いて、国土交通省の「外部専門家の活用ガイドライン」の概略を下記の構成に沿って、ご紹介したいと思います。

「外部専門家の活用ガイドライン」は、

主に外部専門家を理事長・管理者に選任する場合の実務的な留意点や運用例をまとめたもので、

導入までの手続きフローや利益相反等のトラブル防止措置と事故が起こった場合に取るべき対応例などを示しています。

 

LINK  国土交通省「外部専門家の活用ガイドライン

 

☆ ガイドラインの構成

1.  ガイドラインの目的 (1)ガイドライン制定の目的
(2)ガイドラインの対象
2.  外部専門家専任の進め方について (1)外部専門家の活用のニーズの見極め
(2)外部専門家役員の導入までの進め方・手続き
3.  候補者の選定について (1)候補者の情報収集・選定プロセス
4.  外部専門家の業務内容・契約書等 (1)契約・細則等
5.  外部専門家の適正な業務遂行の担保・組合財産の保護のための措置 (1)外部専門家による独断専横的行為・利益相反等の防止
(2)多額の金銭自己・事件の防止
(3)事故・事件が起きてしまった場合の組合財産の保護措置
資料編 外部専門家と管理組合の契約書の例

 

4.外部専門家の業務内容・契約書等

(1)契約・細則等

① 契約の規定事項

外部専門家と締結する契約書において、「定めておくことが望ましい主な規定事項の例」が示されています。

実際の契約締結時には、管理組合と外部専門家の候補者との間で、十分に協議を行い、必要な規定を検討することになると考えられます。

☆ 業務委託契約の主な規定事項

契約書規定事項 留意点
① 契約当事者

(外部専門家の氏名、管理組合側の代表者の氏名)

「理事長=管理者」を外部専門家とする場合の管理組合と外部専門家の間で締結する契約について、

継続(2期目以降の契約締結)の場合は、「管理組合と理事長の利益が相反する事項」(標準管理規約第 38 条第 6 項)なので、

管理組合側を代表して本契約を締結する者は、監事又は理事長以外の理事である区分所有者の中から選任して記載することが考えられる。

② 業務内容

(対象・対象外業務)

・役員の業務内容は管理規約等に規定されているため、「規約に規定される理事長の業務」などといった規定でも足りると考えられる。一方、詳細に規定することも考えられる。

金銭事故の防止等の観点等から、出納業務を対象外として管理業者への委託を義務付けることが望ましく、また、印鑑保管業務を対象外とすることも考えられる。

③ 善管注意義務 ・外部専門家には、委任の規定に従い(区分所有法第28条、民法第 644 条)、善管注意義務が発生します。外部専門家は、専門家として相当程度高度な水準の義務を負うと考えられる。
④ 帳票類等・管理室等の提供等の協力義務 ・外部専門家の業務執行上必要となる帳票類等の書類、管理員室、備品等を管理組合側が無償で提供する義務等について、あらかじめ定めておくことが望ましいと考えられる。
⑤ 報酬・経費

(金額、支払い方法・期日、追加費用等)

・金額については、年俸、月給制、理事会出席等の出来高等の別を明らかにしておく必要がある。

・業務に必要な経費や、外部専門家がやむを得ず立て替えた費用の取扱いについて、報酬とは別に、管理組合が負担する旨等を明確に定めておくことが考えられる。

⑥ 緊急時の業務 ・災害、事故等の緊急時においては、応急修繕の支出等について通常の意思決定プロセスを経る時間的余裕がないことがあり得るため、外部専門家が責任回避のために緊急対応をしないことのないように、やむを得ず支出した費用の取扱いについて明確に定めておくことが考えらる。

・また、緊急時には、理事長等が様々な判断を迅速に下す必要が生じ、これは外部専門家役員であっても同様なので、緊急時の連絡体制や参集義務等について定めておくことが考えられる。

⑦ 報告・通知義務 ・区分所有者である理事長等にも理事会への定期報告義務があるが、特に外部専門家役員の場合には、監視・チェック体制の実効性の観点から、業務執行状況や収支の状況について、書面で、定期的かつ詳細に報告する義務を課すことが重要。
⑧ 守秘義務等 ・業務を通じて知り得た個人情報等の管理組合の情報について、契約終了後も他に漏洩しない旨等を規定することが望ましいと考えられます。
⑨ 免責 ・免責事項には、災害等によりやむを得ない場合や、役員としての善管注意義務を果たした等で外部専門家の責めに帰することができない場合の免責について、規定しておくことが考えられる。

外部専門家が管理組合に損害を与えた場合の補償については、選任の段階で、賠償責任保険への加入状況等を確認しておくことが考えられるが、法人等から個人の専門家を派遣する場合においては、派遣元である法人等が損害を補償する旨の規定を、契約に規定しておくことも考えられます。

⑩ 契約途中における
契約解除・損害賠償等
解約の申し入れ時期

・相手方への契約解除の申入れ時期については、実際の例では、契約期間中の解約でも、契約期間満了時の更新停止でも、いずれも1~3ヶ月前までに行うルールとしている実例がある。

・一方で、契約解除後の管理組合の運営体制を整えるためには半年程度の猶予は必要との考え方もある。

債務不履行がある場合

・契約当事者のいずれかに債務の不履行があれば、一定期間の催告の上(又は外部専門家に欠格事由該当があれば)、いつでも解除でき、損害賠償の請求ができるとしている実例がある。

その他

・不適切な外部専門家を解任できるよう、解任を可能としておくための措置を講じておくことが必要。

⑪ 契約期間・更新・終了等 契約期間

・契約期間は、管理規約で規定される役員の任期(標準管理規約第36 条)と整合させる必要がある。

更新

・ 管理組合の主体性確保の観点から、契約の自動更新は行わず、総会で再任の承認が必要であることとすることが考えられる。

一方、一定期間にわたり継続的に同じ外部専門家から支援を受けることが望ましいとの観点から、契約の自動更新を認めることも考えられる(この場合も、再任の総会決議は必要)。

契約終了

・契約終了時の円滑な業務引継のため、努力義務等として、後任者の選定の支援や、後任者への円滑な業務引継義務、管理組合から提供を受けた書類の返却義務等について定めておくことが望ましいと考えられる。

⑫ 誠実義務・利益相反関係 ・管理組合から委託されている業務に関し、

  • 管理組合の承諾していない紹介料等の収受の禁止
  • 利益相反取引の制限
  • これらに違反した時は契約解除とすること
  • 管理組合に損害を与えたことが明らかな場合は損害賠償の責任を負うこと
  • 違約金について定めておくこと

も効果的であると考えられる。

⑬ 契約外事項等 ・法令や消費税率等の改正に伴う契約変更について、規定しておくことも考えられる。

・契約外事項や疑義があった場合に誠意を持って協議すること等について、定めておくことが望ましいと考えられる。

 

② 外部専門家の業務内容について

役員の業務内容

区分所有法      

  • 「管理者の業務」を規定(第26条)

標準管理規約   

  • 理事長の業務 ⇒「規約、使用細則等又は総会若しくは理事会の決議」による(第38 条)
  • 理事の業務  ⇒「理事会の定めるところに従う」(第 40 条)

外部専門家が就任する場合の業務内容(権限配分、責任等)

通常の区分所有者である役員と同様、管理規約・細則等に基づくことになるので、

特に、通常の管理者の業務のうち一定のものを対象外とする場合には、必要に応じ、

管理規約又は細則において詳細かつ明確に定めておくことが望ましいと考えられる。

 

今回は、外部専門家を役員に選任する場合に、その業務内容を明確にするための契約書についてのの話しでした。

次回は、外部専門家による管理組合財産の損害を未然に防ぐための措置や、事故・事件により管理組合財産に損害が発生した場合の保護措置について、ガイドラインの概要を紹介します。

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