国交省『外部専門家の活用ガイドライン』の概略(1)

      2017/10/03

国土交通省は、マンション管理士などの外部専門家を管理組合理事長・管理者に選任する際の参考として「外部専門家の活用ガイドライン」を発表しました。(平成29年6月)

今回からはこのガイドラインの概略を、以下の構成に沿ってご紹介したいと思います。

「外部専門家の活用ガイドライン」は、

主に外部専門家を理事長・管理者に選任する場合の実務的な留意点や運用例をまとめたもので、

導入までの手続きフローや利益相反等のトラブル防止措置と事故が起こった場合に取るべき対応例などを示しています。

 

 LINK  国土交通省「外部専門家の活用ガイドライン

 

☆ ガイドラインの構成

1. ガイドラインの目的 (1)ガイドライン制定の目的
(2)ガイドラインの対象
2. 外部専門家専任の進め方について (1)外部専門家の活用のニーズの見極め
(2)外部専門家役員の導入までの進め方・手続き
3. 候補者の選定について (1)候補者の情報収集・選定プロセス
4. 外部専門家の業務内容・契約書等 (1)契約・細則等
5. 外部専門家の適正な業務遂行の担保・組合財産の保護のための措置 (1)外部専門家による独断専横的行為・利益相反等の防止
(2)多額の金銭自己・事件の防止
(3)事故・事件が起きてしまった場合の組合財産の保護措置
資料編 外部専門家と管理組合の契約書の例

 

1. ガイドラインの目的

(1)ガイドライン制定の目的

  • 外部専門家による誠実義務違反や利益相反を防ぐための方策
  • 資格・財産的基礎を担保するための要件
  • 事故があった場合の措置 等、

外部専門家である役員の適正な業務運営を担保するための措置の具体例を示すためにガイドラインが作成された。

 

(2)ガイドラインの対象

①外部専門家の位置付け

管理組合の組合員以外の外部専門家を、「理事長」や「管理者」として活用する場合の、実務的な留意点や想定される運用例をまとめたもの
外部専門家を顧問・アドバイザー・コンサルタントといった第三者的立場での助言者等として活用する場合や、管理事務を管理業者に委託する場合については対象としていない

②ガイドラインを参考にして頂きたい方

主として、管理組合の担い手不足に直面し又は懸念している既存マンショにおいて、活用を検討している管理組合の方

③ニーズが想定されるマンションのタイプ

主として、管理不全マンションになることが懸念される既存マンションを念頭に置き構成している。

※管理不全マンションになることが懸念される既存マンションの例

  • 月例の理事会出席が主な業務となる一般理事の担い手は存在するが、日常的に区分所有者や管理会社等との連絡調整等の業務がある理事長の担い手確保に苦慮しているマンション
  • 修繕積立金の値上げ滞納回収が必要といった課題を抱えるようなマンション
✕   投資型マンションや新築分譲マンション等を念頭に作成されているものではない。
管理費が全く徴収されていない等の状態に陥っているマンションの管理適正化を、本ガイドラインのみで行うことは困難。

④管理組合の管理方式のパターンとの関係

理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型のパターン

(理事会が設置され、かつ、個人である外部専門家が、理事長に就任するケース)

を念頭に置いて例を示している。

※外部専門家が理事長以外の役員に就任することを妨げる趣旨ではないので、個別のマンションの事情に応じて一般理事等に就任するケースについても、共通する考え方は参考にできる。

☆外部専門家が管理組合の運営に携わる基本的パターンについては、過去記事をご参照ください。

過去記事 「外部専門家の活用に関するマンション標準管理規約の改正(1)

 

2. 外部専門家専任の進め方について

(1)外部専門家の活用のニーズの見極め

外部専門家を役員として活用することによるメリットとデメリット

メリット
  • 専門的見地による管理組合運営の適正化
  • 意思決定の迅速化
  • 専門家が有するネットワークによる情報収集力向上
  • 課題把握の適確化
  • 管理組合の負担軽減等
デメリット
  • 外部専門家への報酬の支払いに伴う管理組合の支出増大等

 

(2)外部専門家役員の導入までの進め方・手続き

①外部専門家役員の導入までのプロセスの全体像

大きな流れとしては、現体制の理事等が主体となり、

区分所有者への説明会等で情報共有・意向把握を重ねながら検討し、

総会での導入推進決議も経て、候補者の選定や必要な細則・契約・予算の案を検討し、

最終的な総会決議において正式に決定することが考えられます。

①外部専門家の活用のニーズの見極め(理事会) 外部専門家役員の導入のメリット・デメリットや、理事会運営の改善策等を検討
②新たな管理方式導入に向けた検討開始(理事会) 外部専門家役員が必要と判断された後、理事会が主体となって検討を開始
③区分所有者に対する説明会等 区分所有者への説明会・アンケート等で情報共有・以降把握を実施

説明会等を重ねて着実に合意形成を進めながら、理事会で導入の方向性を検討・決議

④総会での導入推進決議 総会での普通決議により、導入に向けて手続きを進める旨、候補者、外部専門家の業務内容、新管理方式の内容等を決定
⑤外部専門家の導入に向けた具体的な検討(理事会) 候補者と確認しながら、細則案(必要に応じて規約改正案)、契約書、報酬、その他諸条件等について検討
⑥総会での導入決議 総会決議により、外部専門家の選任、細則(必要に応じ規約改正)、契約書、報酬等の予算等を制式決定

※規約改正がある場合は3/4特別決議が必須

業務委託契約の締結 契約書の内容(特に委託対象となる業務範囲、報酬等)について、委託先となる専門家と十分に協議を行う必要がある。

委託開始時期は役員交代時期に合わせることが望ましい。

新たな管理方式の施行 導入決議後から2~3ヶ月後に 新たな管理方式へ移行

 

3. 候補者の選定について

(1)候補者の情報収集・選定プロセス

・外部専門家の候補者の情報収集・リストアップについては、

管理組合が自ら情報収集するほか、専門家派遣を行っているNPO 等の団体、マンション管理士の団体など地域的又は全国的な専門家団体、地方自治体のマンション相談窓口などへ問い合わせた上、

外部専門家の派遣や紹介、相談会への参加、無料相談サービス等を通じて、外部専門家の情報を入手することが考えられます。

他のマンションで活躍している記事等が掲載されていたマンション管理士を候補とした例もあります。

 

・一般的には、役員のなり手不足の課題に直面しているマンションは、理事長を公募によって候補者を募り、審査することは現実的には困難であり、

まずは顧問契約やコンサル業務等の形で支援を受け、その過程で信頼関係を構築できると判断でき、かつ、理事長への就任の必要性が高いと判断された場合に、理事長への選任を検討することが多いようです。

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