外部専門家の活用に関するマンション標準管理規約の改正(3)

      2017/09/26

前回に引き続き、外部専門家の活用に関するマンション標準管理規約の平成28年改正についてまとめていきます。

今回は、36条~37条です。

☆ 平成28年改正マンション標準管理規約「外部専門家の活用」規定一覧

全般関係コメント③ 外部専門家の活用に関する総合的な考え方を明記
35条 役員 外部専門家を役員に選任できることとする場合の定めの新設
36条 役員の任期 外部専門家を役員に採用する場合の役員資格喪失の定めの新設
36条の2 役員の欠格条項 役員の欠格条項の定めの新設
37条 役員の誠実義務等 財産毀損防止の措置・報酬支払時の留意事項のコメント追記
37条の2 利益相反取引の防止 利益相反取引の防止の定めの新設
38条 理事長の職務 理事会への報告の定め・利益相反事項に関する代表権の定めの新設
39条 副理事長 (変更なし)
40条 理事 理事の監事に対する報告義務の定めの新設
41条 監事 監事の権限強化のための定めの新設
別添1 外部専門家の活用パターンごとの解説

 

☆ 第36条「役員の任期」

外部専門家を役員として選任する場合、36条4項を変更します。

旧36条4項 

役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う

〔外部専門家を役員として選任できることとする場合〕

新36条4項 

選任(再任を除く。)の時に組合員であった役員が組合員でなくなった場合には、その役員はその地位を失う

何が違うの? と思いませんか?

旧36条4項の「役員が組合員でなくなった場合」と、新36条4項の「選任のときに組合員であった役員が組合員でなくなった場合」って同じ意味だと思うのですが・・・

第36条関係コメント③は次のように書いています。

第4項は、組合員から選任された役員が組合員でなくなった場合の役員の地位についての規定である。

第35条第2項において組合員要件を外した場合には、「外部専門家を役員として選任できることとする場合」のような規定とすべきである。

それは、例えば、外部の専門家として選任された役員は、専門家としての地位に着目して役員に選任されたものであるから、当該役員が役員に選任された後に組合員となった場合にまで、組合員でなくなれば当然に役員としての地位も失うとするのは相当でないためである。

役員に選任された外部専門家(外部専門役員)が、マンションを気に入って購入した場合、その外部専門役員は、組合員(区分所有者)になるわけです。

その後、外部専門役員がマンションを売却し、組合員(区分所有者)ではなくなってしまった場合、旧36条4項のままだと、役員をやめなくてはなりません。

そこで、「選任の時に組合員であった役員」とすることにより、組合員でなくなった場合に役員資格を失う者を一般の組合員(区分所有者)に限定しました。

もともと、役員資格の組合員要件を排除して、専門性のある外部専門家を役員に選任したという経緯からすると、組合員でなくなったからといって外部専門役員をやめさせるわけにはいかないということでしょう。

でもどうでしょう?これはかなりのレアケースではないでしょうか?

ないことはない、と言われれば返す言葉もありませんが・・・

 

☆ 第36条の2「役員の欠格条項」

こちらは平成28年改正で新設された条文です。

今までの管理組合役員には欠格条項(資格や地位を与えない理由)がありませんでしたが、

外部専門家を役員に選任することができる規定を設けたことに伴い、欠格条項を定めたものです。

※本条は、外部専門役員を含めた役員の欠格事項です。(外部専門役員のみの欠格事項ではありません)

新設第36条の2 

次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない

一 成年被後見人若しくは被保佐人*1又は破産者で復権を得ないもの*2

二 禁錮以上の刑*3に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった*4日から5年を経過しない者

三 暴力団員等*5(暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過 ない者をいう。)

*1 成年被後見人・被保佐人

精神上の障害により判断能力を欠く常況又は著しく不十分である人で、家庭裁判所から後見開始又は保佐開始の審判を受けた人を成年被後見人又は被保佐人といいます。

*2 破産者で復権を得ないもの

裁判所から破産手続き開始決定を受けた人を破産者といいます。

復権すれば破産手続き開始決定に伴う制限(例えば、後見人になれないとか弁護士になれない等)をなくすことができます。

免責許可が決定したときや債権者の同意により破産手続き廃止の決定が確定したときに復権することができます。

*3 禁固以上の刑

日本では、犯罪を犯した場合の刑罰を重い順に「死刑、懲役、禁固、罰金、拘留、科料」と定めています。

したがって、禁固以上の刑とは「死刑、懲役、禁固」となります。

*4 その(刑)の執行を受けることがなくなった

「刑の執行を受けることがなくなった」とは、刑の時効完成、仮出獄期間中における刑期満了、恩赦の一種としての刑の執行免除など刑の執行の免除を受けた場合のことをいいます。

*5 暴力団員等

第36条の2関係コメント①は以下のように記しています。

なお、暴力団員等の範囲については、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律を参考にした。

暴力団員とは、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」2条6号に規定する、その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体の構成員をいいます。

 

さらに、36条の2関係コメント②には、細則において、外部専門役員特有の欠格事項を定めるよう求めています。

② 外部の専門家からの役員の選任について、第35条第4項として細則で選任方法を定めることとする場合、本条に定めるほか、細則において、次のような役員の欠格条項を定めることとする。

ア 個人の専門家の場合

  • マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者から役員を選任しようとする場合にあっては、マンション管理士の登録の取消し又は当該分野に係る資格についてこれと同様の処分を受けた者

イ 法人から専門家の派遣を受ける場合

(アに該当する者に加えて)次のいずれかに該当する法人から派遣される役職員は、外部専門家として役員となることができない。

  • 銀行取引停止処分を受けている法人
  • 管理業者の登録の取消しを受けた法人

欠格条項なんて、なんだか重々しい感じですが、組合員以外の外部の人間が、管理費・修繕積立金を使って管理組合の舵取りを行うのですから、この条文は入れておかなければならないでしょう。

 

☆ 第37条「役員の誠実義務等」

こちらは、条文に変更はありませんが、コメントが新設されました。

第37条

1 役員は、法令、規約及び使用細則その他細則(以下「使用細則等」という。)並びに総会及び理事会の決議に従い、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとする。

2 役員は、別に定めるところにより、役員としての活動に応ずる必要経費の支払報酬受けることができる

コメントの内容は、前回の「外部役員選任細則案」にも規定したように、細則に反映させることができます。

第37条関係コメント(第1項関係)

① 役員は、管理組合の財産の毀損の防止及びそのために必要な措置講じるよう努めるものとする。

特に、外部の専門家の役員就任に当たっては、判断・執行の誤りによる財産毀損に係る賠償責任保険への加入に努め、保険限度額の充実等にも努めるべきである。

さらに、故意・重過失による財産毀損は、保険の対象外のため、財産的基礎の充実による自社(者)補償や積立て等による団体補償の検討等にも取り組むよう努めるべきである。

第37条関係コメント(第2項関係)

② マンションの高経年化、区分所有者の高齢化、住戸の賃貸化・空室化等の進行による管理の困難化やマンションの高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化が進んでおり、マンションの円滑な管理のために、外部の専門家の役員就任も考えられるところである。

この場合、当該役員に対して、必要経費とは別に、理事会での協議・意見交換の参画等に伴う負担と、実際の業務の困難性や専門的技能・能力等による寄与などを総合的に考慮して、報酬を支払うことも考えられる

その際、理事会の議事録の閲覧(第53条第4項)の活用等により、役員の業務の状況を適切に認知・確認することが望ましい

コメント①は、外部専門家の役員就任にあたっては、財産毀損に係る賠償責任保険への加入に努め、保険限度額の充実等にも努めるべきであるとしています。

マンション管理士の場合、財産毀損に係る賠償責任保険には、過去記事でもご紹介した「マンション管理士賠償責任保険」があります。

☆過去記事マンション管理士賠償責任保険について

マンション管理士も管理組合のために努力するのですが、過失によって管理組合に損害を与えるかもしれません。

万が一の備えがあるというのは、管理組合にとってもマンション管理士にとっても大事なことですよね

次回は、平成28年改正で新設された第37条の2「利益相反取引の防止」からです。     ...END

 

 

 

 

 

 

 

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