外部専門家の活用に関するマンション標準管理規約の改正(1)

      2017/09/26

マンション標準管理規約の平成28年3月改正のうち、

主要な項目の一つとされていたものが「外部専門家の活用」です。

簡単に言えば、マンション管理組合の運営に直接

マンション管理に関する専門家を活用していこうというものです。

さらに、本年6月には国交省が「外部専門家の活用ガイドライン」を発表し、

外部専門家の導入手続や選定基準、業務・契約内容、管理組合財産保護にための措置

などの例を提示しました。

今回は、まずマンション標準管理規約における「外部専門家の活用」に関する

新たな定めをまとめてみたいと思います。

 

1.「外部専門家の活用」導入の経緯と背景

 

マンション標準管理規約コメント全般関係③は、以下のように解説しています。

近年のマンション管理を取り巻く環境として、

  • マンションの高経年化の進行等による管理の困難化
  • マンションの高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化

などが挙げられる。これまでも、

マンション管理士等の専門家に対し、相談、助言、指導その他の援助を求めること

については規定されてた(標準管理規約34条*1)が、さらに進んで、

外部の専門家が、直接管理組合の運営に携わる

ことも想定する必要がある。

このような外部の専門家には、管理の執行を担うという点から、特に、

  • 管理規約
  • 管理の委託
  • 修繕、建替え等

に関する広範な知識が必要とされ、

例えば、標準管理規約33条*2及び同コメント第34条関係②*3に挙げるような者

が外部の専門家として想定される。

*1. 34条〔専門的知識を有する者の活用〕

管理組合は、マンション管理士その他マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる。

*2. 33条〔業務の委託等〕

管理組合は、前条〔管理組合の業務〕に定める業務の全部又は一部を、マンション管理業者等第三者に委託し、又は請け負わせて執行することができる。

*3. コメント34条関係②

管理組合が支援を受けることが有用な専門的知識を有する者としては、マンション管理士のほか、マンションの権利・利用関係や建築技術に関する専門家である、弁護士、司法書士、建築士、行政書士、公認会計士、税理士等の国家資格取得者や、区分所有管理士、マンションリフォームマネジャー等の民間資格取得者などが考えられる。

 

2.外部専門家が管理組合の運営に携わる基本的パターン

 

マンション標準管理規約コメント全般関係③は、さらに以下のように解説しています。

外部の専門家が管理組合の運営に携わる際の基本的なパターンとしては、

別添1*4に示したとおり、

① 理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型*5
② 外部管理者理事会監督型*6
③ 外部管理者総会監督型*7

の三つが想定される。この標準管理規約は、

理事会を中心とした管理組合の運営を想定したもの

であり、標準管理規約35条2項*8において組合員要件を外した場合には、

①理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型

による外部の専門家の活用を可能とするように規定を整備している。

*4. 別添1

外部専門家の活用パターン(3種類)の詳細を解説したもの。マンション標準管理規約に別添として付けられている。

*5 理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型

従来どおり理事会を設け、理事会役員に外部の専門家を入れるパターン。

外部専門家が、理事や監事、あるいは理事長になって、他の理事会役員と一緒に管理運営を行います。

*6. 外部管理者理事会監督型

外部専門家を区分所有法上の管理者として選任し、理事会は監事的立場となり外部管理者を監視するパターン。

監視する立場の理事会の役員に、さらに別の外部専門家を選任することも考えられます。

*7. 外部管理者総会監督型

外部専門家を区分所有法上の管理者として選任し、理事会は設けないパターン。

区分所有者の監事と総会が管理者を監視し、さらに監査法人等の外部監査を義務付けている。

理事・監事  外部専門家型 理事長     外部専門家型 外部管理者   理事会監督型 外部管理者   総会監督型
総会
管理者 区分所有者 外部専門家 外部専門家 外部専門家
理事長 区分所有者 外部専門家 区分所有者 ×
理事会 ×
備考 理事会内部に 外部専門家が入り、理事・監事に就任する。 理事会内部に外部専門家が入り、理事長に就任する。 外部専門家が管理者になり、理事会が監視する。 外部管理者が管理者になり、総会が監視する。

どのパターンも、総会が最終的な意思決定機関です。外部管理者の選任も総会で行わなければなりません。

 

ところで、「管理者」と「理事長」の違いって分かりますか?

「管理者」は区分所有法で定められていて、「理事長」はマンション標準管理規約に定められていますが、実務上、その役割は同じようなものです。ややこしいですが・・・

区分所有法は、「管理者」を選任し、共用部分等の管理業務を執行する方式(「管理者」制度)を採っています。但し、管理者の選任は義務ではないので(区分所有法3条)、管理者を選任しなくてもいいわけです。

なお、「管理者」の資格に特段の制限ないので、区分所有者以外の者でも、法人(会社等)でも管理者になれます。

次に「理事長」ですが、

マンション標準管理規約は、共用部分等の管理業務の執行を、理事長を中心とする「理事会」制度で行うことを基本としています。

そこで、理事長を区分所有法に定める「管理者」(標準管理規約38条2項)としますが、理事長1人で管理業務を行うのは不可能に近いので、「理事会」を組織し、その構成メンバーで理事長の補佐をするようにしています。

 

つまり、共用部分等の管理業務を執行する機関が「管理者」であり、標準管理規約においては「理事長」が「管理者」になるということです。

☆区分所有法の団体の形態

管理者 理事長 理事会 備考
管理者がいない団体
管理者のみ存在する団体
管理者と理事長(理事会)が存在する団体、管理者≠理事長
管理者と理事長(理事会)が存在する団体、管理者=理事長

 

標準管理規約は、「理事会」制度、つまり理事長を中心とする理事会で、管理業務を執行していくように設定されています。

そして、外部専門家を管理組合運営に参加させる場合は、理事会内部に役員として(理事・監事又は理事長)参加させる方式=①理事・監事外部専門家型(理事長外部専門家型)を可能とするように規定が整備されています。

次回は、理事・監事外部専門家型(理事長外部専門家型)を想定した平成28年の標準管理規約改正の中身をまとめていこうと思います。 …END

 

 

 

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