地震発生後、ライフライン(電気・ガス・水道)の復旧はいつ?

   

 

 大阪北部の地震発生(2018年6月18日)から2週間。

 この地震でのライフラインの復旧状況を、過去の大地震と比較してまとめてみました。

1. 大阪北部地震の概要

発生日時 2018年6月18日 午前7時58分
規模 マグニチュード6.1
最大震度 6弱
人的被害 死者4名、負傷者428人
住宅被害 全壊4棟、半壊46棟、一部損壊19,193棟

※出典:総務省消防庁「大阪北部地震の被害と消防庁の対応状況」より

2. 過去の大地震との比較

大阪北部の地震 熊本地震 東日本大震災
発生日時 2018.6.18 2016.4.16 2011.3.11
規模 M6.1 M7.3 M9.0
最大震度 震度6弱 震度7 震度7
死者・行方不明者 4人 267人 約1万9000人
建物全壊被害 4棟 約8000棟 約12万棟

3. ライフラインの復旧状況

大阪北部の地震 熊本地震 東日本大震災
電気 被害状況 大阪府・兵庫県内で最大約17万世帯が停電 約47万世帯が停電 約850万世帯が停電
復旧状況 約2時間半後にほぼ復旧 5日後までに復旧 1週間程度でほぼ復旧
水道 被害状況 大阪府・兵庫県・京都府の一部で漏水や断水被害 約44万世帯で断水 約230万世帯で断水
復旧状況 3日後に復旧 熊本市では2週間でほぼ復旧 3週間程度でほぼ復旧
ガス 被害状況 大阪ガス管内の、約11万世帯で供給停止 西部ガス管内、約10万世帯で供給停止 約46万世帯で供給停止
復旧状況 6日後までに復旧 2週間でほぼ復旧 5週間程度でほぼ復旧

※出典:「内閣府 防災情報のページ」より抽出

(1)電気

 早くて当日、遅くても1週間で復旧することから、ライフラインで最初に使えるのは電気ということが分かります。しかし、23年前の阪神・淡路大震災では電気復旧後に火災(通電火災)が頻発し大きな被害になりましたので、通電再開する場合は十分な注意が必要です。

☆ 総務省「地震後の火災防止について

(2)水道

 熊本地震や東日本大震災では2~3週間で復旧したのに比べて、大阪北部の地震では3日で復旧しています。これは地震の規模(エネルギー)マグニチュード6と7の違いといえます。大阪北部の地震では地下の給水管の損傷被害が少なかったのでしょう。

 ちなみにマグニチュードは数値が0.2あがるごとに地震のエネルギーが倍になります。つまりマグニチュードが1大きいだけで、地震のエネルギーが32倍も違うということになります。

※ マンションの場合、地域給水(公共水道)が再開されても、マンション内の設備に不具合(加圧ポンプの故障や受水槽の破損など)があると各住戸への給水再開はさらに遅れることになります。

 また、給水再開後は排水管の破損による漏水事故の発生にも十分注意しなければなりません。

地震後の給水再開方法

 下階からの段階的な利用開始とし、漏水がないことを確認しながら使用開始することを原則とし、以下の指示を全ての住居に周知しておく。

「地震発生直後や避難時は、マンション全体の元栓、各住戸の元栓を閉めておく。復旧時、全体の元栓を開けたのち加圧ポンプや受水槽の状態を確認する。異常がなければ、配管の縦系列ごとに下の階から開栓し、下階への漏水がないことを確認しながら、上階を開栓していく。」

(3)ガス(都市ガス)

 ライフラインの復旧のスピードは、電気 → 水道 → ガス(都市ガス) の順になるようです。この順番は備品や食料品の備蓄などに関係することになるので覚えておいたほうがいいと思います。

 さて、ガスが一番復旧が遅いわけですが、大規模震災を経るたびにその対策も行われていて、ガス管の耐震性を強化したり、近隣都市ガス事業者の協力を得て復旧にあたるなど、大阪北部の地震では1週間内で復旧しています。

なぜ、ガスの復旧に時間がかかるのか?

 復旧に時間がかかる理由は、2度の戸別訪問を必要とする手順にある。大きな揺れがあると安全対策でガスは自動的にストップされ、ガス漏れなどの心配がない場合、各家庭でガスメーターの「復帰ボタン」を押せば再びガスが使えるようになるケースもある。だが、地中のガス管が破損している危険性のあるエリアでは作業員が各家庭を訪問。事故を防ぐためにガス栓を閉めて回り、その後に地中の管を点検・修理する。最後に再び各家庭を訪ね、住人立ち会いのもとで開栓して、ようやく供給再開となる。 (毎日新聞デジタル版2018.6.21より)

※ なお、プロパンガスの復旧は早いようです。プロパンには配管がなく、各家庭にガスボンベを設置するシステムになっているため、災害後も各家庭の配線を点検するだけで済むからです。

4. マンション特有のライフラインの復旧状況

 マンションには、マンション特有の生活に必要な設備があります。

(1)エレベーター

 平成21年9月以降設置されたエレベーターには、地震の揺れを感知すると、最寄り階で自動停止し、ドアが開く装置(地震時管制運転装置)の設置が義務づけられています。ただし、古いエレベーターなどにはこうした装置のない場合もあって、今回の大阪北部地震でも約350件のエレベータ内閉じ込め事故が発生しています。

 大阪府北部で震度6弱を観測した地震では、エレベーターに人が閉じ込められた件数は339件で、東日本大震災(2011年)の約1・6倍に当たることが、国土交通省の集計などから分かった。最寄り階で自動停止するシステムが未整備の旧型が使われ続けているのが主な原因とみられる。閉じ込めが長時間になると、火災や津波を伴う地震が起きた場合は避難できなくなる恐れがある。地震による閉じ込め件数では異例の規模で、専門家は「今後の安全対策を考える機会にすべきだ」と指摘する。(毎日新聞デジタル版 2018.6.22より)

 東日本大震災の1.6倍、これは大都市大阪のエレベーター設置台数の多さによるものでしょう。

 いったん緊急停止すると、点検業者による点検・復旧が必要となります。大規模な地震が発生した場合は、交通機関、通信回線などの混乱により、停止したエレベーターの復旧に大幅な時間が掛ることが予測されるため、復旧の優先順位が日本エレベーター協会によって以下のように示されています。

優先順位 対応内容 建物種別 理由等
1 閉じ込め救出 閉じ込めが発生している建物 閉じ込め救出を最優先
2 停止したエレベーターの復旧 病院等、弱者が利用する建物 けが人等の対応が急増する建物
3 公共性の高い建物 各行政から災害対策本部棟に指定されれる建物
4 高層住宅(地上高さ概ね60m以上) 一般の建物と比較し、生活に大きな支障の起こる可能性が高い建物
5 一般の建物

閉じ込め事故が発生していない場合などは、マンションは一般の建物として、復旧の優先順位は最下位になるようです。

☆ 日本エレベーター協会「大規模地震発生時のエレベーター早期復旧等に関するご協力のお願い

(2)機械式駐車場

停電に伴い、機械式駐車場も停止します。車輛の出し入れの途中で装置が停止した場合は、停電が解除されても自分で装置を動かさないで、保守点検業者の到着を待ってください。

 立体駐車場工業会は、「震度5以上の地域では専門技術者の点検・確認を受けるまで駐車装置を絶対に動かさないでください!!」と呼び掛けています。

☆ 立体駐車場工業会「機械式駐車装置で地震が発生したら

また、管理会社の大和ライフネクスト株式会社は、平成28年度「マンション管理適正化・再生推進事業」の報告書の中で、平成26年の熊本地震における機械式駐車場の復旧について、以下のような分析をしています。

・熊本地震の特徴として「車中泊」や、親類宅などに身を寄せる際、鉄道などを使わずに自動車で避難する居住者が多かったとし、地震で停止した機械式駐車場を「今すぐ動かしてほしい」とする緊急性の高い要望が多かった。

・東日本大震災は、被害が広域に及んだ点などから自動車で避難するケースは少なく「機械式駐車場をすぐに動かしてほしいといった要望は多くなかったと記憶している」とし、「災害発生地域が車社会であるか否か、被害が広域であるか否かにより、復旧の要望の高い設備も変化する」としている。

 

今回は地震発生後のライフラインの復旧についてまとめました。大規模な震災になった場合は、この他に、震災ゴミ、トイレ、ペットなどの問題も発生します。日本はここ数十年で大きな地震をいくつも経験しました。この経験を踏まえて、「いつどこでも地震は発生する。」ということを頭に入れて事前の備えをしなければなりません。END

 

 

 

 

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