理事長を理事会で解任できますか?

      2018/06/07

平成29年12月18日、最高裁第1小法廷は、管理規約に理事長・副理事長等の理事の役職について「理事の互選により選任する」と定められた管理組合において、理事会で理事長を解任できるとする判断を示しました。

今回は、このある分譲マンションの管理組合で起こった事案を取り上げてみます。

まず、当該管理組合の規約には次のような定めがありました。

管理組合に、その役員として理事長及び副理事長等を含む理事並びに監事を置く。 40条1項
理事及び監事は、組合員のうちから総会で選任する。 40条2項
理事長及び副理事長等は、理事の互選により選任する。 40条3項
役員の選任及び解任については、総会の決議を経なければならない。 53条13号

ここでは、

  • 管理組合には、役員として理事・監事を置くこと
  • その理事・監事は総会で選任すること
  • 役員(理事・監事)の選任・解任には総会決議が必要であること

そして、(ここが紛らわしいのですが…)

  • 理事長や副理事長(その他、必要に応じて会計担当理事や修繕担当理事等)という役職は、理事の話し合い(互選)で決めること

が加わっています。

裏返すと、理事の役職を互選で「決めること」は規定されているが、役職を「解くこと」までは規定されていないともいえるわけで、この裁判は、理事長職を理事会で解任させられた区分所有者が、「理事会で理事長職を解任できるとは管理規約には書いてないから、理事会決議は無効だ!」といって訴えたものです。

このように、「規則に明確にできると書いてない以上、できないでしょ?」といった話はよくあることですよね。

ケースバイケースにはなるのでしょうが、管理規約の「理事の互選」については、 選任のほかに解任も含まれるとした今回の判断については、個人的には同意しますが、皆さんはどうお考えになりますか?

さて、この事案では、解任された理事長さんが「管理会社の選考は競争入札で行うべき」というお考えをもっていて、他の理事さんたちが反対の考えを持っていたということで、理事長が理事会決議を経ずに、臨時総会の招集通知を発してしまったため、他の理事から解任されたということです。

「管理会社を入札で選考すること」それ自体は間違っているとは思えませんが、なぜ、他の理事さんたちから解任されるまでになったのでしょうか?

詳しい事情が分からないのではっきりしたことは言えませんが、一般的に管理組合の問題でよくあるのが、「理事長は管理組合の代表者なのだから、自分の独断で何でもできるんだ。」と勘違いされる理事長がたまにいるということです。

確かに、管理組合の管理委託契約書には自分の名前が載るし、管理組合口座名義にも自分の名前が組み込まれたりと、あたかもその管理組合の代表取締役にでもなったかのような気分にさせられることはあるでしょう。

しかし、正直、管理組合の理事長には何の権限もありません。

「管理組合の最高意思決定機関は、総会である。」って聞いたことありませんか?

「国権の最高機関は国会である。」みたいに仰々しいですが、

日本の分譲マンション管理の現場の大多数においては、区分所有者全員が議決権を持つ総会で重要な決定を行い、決めたことを執行する業務執行機関として理事会があり、その理事会の代表あるいは責任者が理事長ということになっていて、理事長が独断で何かを行えるという仕組みにはなっていないのです。

つらいことばかり・・・それが今、理事長をやられている区分所有者の方々の本音ではないでしょうか。

解任された理事長も、他の理事との話し合いで総会招集通知を発していれば、このようなことにならなったのでしょうが、何か外野には分からない事情があったのかもしれませんね。

理事長さんには、責任はあるけど権限はない。とっても辛い役職です。でもマンションを生活の場としてより良い生活環境を作っていくためには、誰かがこの役目を負わなくてはなりませんよね。

そんなとき、理事長のため、理事会のため、そして管理組合のために存在するのがマンション管理士なのです(唐突ですみません)。

管理組合のことで、何か分からないことや困ったことが起こったとき、起きそうなとき、まずはマンション管理士に相談してみてください。

トラブルを大きなトラブルに発展させないためには、小さなトラブルの芽を摘むのが大事なことです。裁判になった管理組合も、理事長の考えていることが他の理事に分かってもらえないと分かったときに、マンション管理士に相談して頂いていれば、裁判沙汰にならなかったかもしれませんしね。 終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

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