団地の管理(2) ~マンション標準管理規約の定め

      2017/10/20

前回は区分所有法における団地の規定を確認しましたが、今回はマンション標準管理規約における団地の規定を確認します。

 

1.マンション標準管理規約(団地型)の対象となる団地

(1)対象となる団地の形態

マンション標準管理規約(団地型)は、

一般分譲の住居専用のマンションが数棟所在する団地型マンションで、

団地内の土地及び集会所等の附属施設が

その数棟の区分所有者(団地建物所有者)全員の共有となっているもの

を対象にしています。

団地の形態①

団地内の土地全体が、全団地建物所有者の共有となっている形態

標準管理規約(団地型)の対象

※右の要件を満たすもの→

全部が区分所有建物
建物の敷地全体を団地建物所有者が共有
団地管理組合が団地内の区分所有建物全部を管理
団地の形態②

土地の共有関係は各棟ごとに分かれ、集会所等の附属施設が全団地建物所有者の共有となっている形態

各棟ごとに(単棟型の標準管理規約を参考に)規約を設定し、附属施設についてのみ全棟の区分所有者で規約を設定する。

 

 

(2)団地管理組合による管理の前提

マンション標準管理規約(団地型)は、

団地建物所有者の共有物である団地内の土地、附属施設及び団地共用部分のほか、

それぞれの棟についても、

団地全体で一元的に管理することを前提としています。

☆ 標準管理規約(団地型)⇒ 団地内の土地・附属施設・各棟を一元管理する。

このように、団地管理組合の規約で、団地管理組合が団地内の全部の棟の管理を一元的に管理すると定めるには、

団地管理組合の総会で、

特別決議(団地建物所有者及びその議決権の各3/4以上の多数による決議)

を得ることに加え、

各棟管理組合の総会(棟単位の集会)において、

それぞれの棟の区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による決議

が必要になります。(区分所有法68条1項)

☆ 一元管理 ⇒ 団地管理組合総会の特別決議各棟管理組合総会の特別決議

※団地規約に一元管理が規定された後で、棟ごとの管理に復帰させる場合には、まず団地規約を変更しなければなりません。棟の決議のみで団地規約からの拘束から離脱できないことに注意が必要です。

 

(3)各棟の総会で決議すべき事項

義務違反者に対する措置(区分所有法57条~60条)、復旧及び建替え(区分所有法61条~64条)等の各規定は、団地内の区分所有建物についても、建物ごとにのみ適用され、これらの事項は、棟ごとの管理組合の総会で決議されます。

したがって、これらの事項に関する集会の決議は、団地管理組合の規約をもってしても、団地管理組合の総会によってするものとすることはできません。

☆各棟管理組合総会でのみ決議可能な事項

(×団地管理組合総会での決議)

義務違反者に対する措置(区分所有法57条~60条)
復旧及び建替え(区分所有法61条~64条)

 

2.団地建物所有者の費用の負担等

(1)管理費等の納入義務

①団地建物所有者が負担すべき費用

団地内の管理対象物を円滑に管理するためには、各区分所有者は、その管理に必要な費用としてどのような費用が必要であり、その負担をどのように設定するかを明確に定めておく必要があります。

標準管理規約団地型25条1項は、

団地建物所有者は、土地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、管理費、団地修繕積立金及び各棟修繕積立金(以下「管理費等」)を団地管理組合に納入しなければならない。

としています。

②管理費

管理費は、『通常の管理に要する経費』に充当します。(標準管理規約団地型27条)

通常の管理に要する経費 管理員人件費、公租公課、共用設備の保守維持費・運転費、経常的な補修費、委託業務費、管理組合運営費等の通常の管理に要する経費

また、管理費の額は、

各棟の管理に要する費用 それぞれの棟の各区分所有者の棟の共有部分の共有持分に応じて算出する
土地・附属施設・団地共用部分等の管理に要する費用 各団地建物所有者の土地の共有持分に応じて算出する

とし、各団地建物所有者の負担すべき管理費等の額は、これらの額を合計した額となります。

③団地修繕積立金

団地修繕積立金は、原則として、土地、附属施設及び団地共用部分の『特別の管理に要する経費』に充当します。(標準管理規約団地型28条1項)

特別の管理に要する経費 一定年数の経過のごとに計画的に行う修繕(計画修繕)、不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕、土地・附属施設及び団地共用部分の変更、その他土地・附属施設及び団地共用部分の管理に関し、団地建物所有者全員の利益のために特別に必要となる管理等

その負担額は、

各団地建物所有者の土地の共有持分に応じて算出される。(標準管理規約団地型25条3項)

④各棟修繕積立金

各棟修繕積立金は、それぞれの棟の共用部分の『特別の管理に要する経費』に充当します。(標準管理規約団地型29条1項)

特別の管理に要する経費 一定年数の経過のごとに計画的に行う修繕(計画修繕)、不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕、棟の共用部分の変更、その他棟の共用部分の管理に関し、その棟の区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理等

その負担額は、

それぞれの棟の各区分所有者の棟の共用部分の共有持分に応じて算出される。(標準管理規約団地型25条4項)

⑤団地の差異を考慮した団地修繕積立金等の設定

長期修繕計画の作成や、団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の設定に当たっては、

  • 団地を構成する棟の数の多少
  • 個々の棟の建物規模の大小及び構造の差異
  • 分譲時期の時間差 

などが建物の維持管理上の条件に影響を及ぼしているにかんがみ、これらの差異に十分に考慮する必要があります。

(2)管理費等の区分経理

①管理費等

管理組合は、管理費等について、管理費、団地修繕衝立金、各棟修繕積立金ごとに区分して経理しなければならない。(標準管理規約団地型30条1項)

②各棟修繕積立金

各棟修繕積立金は、棟ごとにそれぞれ区分して経理しなければならない。(標準管理規約団地型30条2項)

③使用料

駐車場使用料その他の土地及び共用部分等に係る使用料は、それらの管理に要する費用に充てるほか、団地建物所有者の土地の共有持分に応じて棟ごとに各棟修繕積立金として積み立てる。(標準管理規約団地型31条)

 

3.団地修繕積立金と各棟修繕積立金

(1)団地修繕積立金

管理組合は、各団地建物所有者が納入する団地修繕積立金を積み立てるものとする。(標準管理規約団地型28条1項)

団地管理組合が対象物件の経済的価値を適正に維持するためには、一定期間ごとに行う計画的な維持修繕工事が重要であるので、団地修繕積立金及び各棟修繕積立金を必ず積み立てることとしています。

(2)各棟修繕積立金

管理組合は、それぞれの棟の各区分所有者が納入する各棟修繕積立金を積み立てるものとする。(標準管理規約団地型29条1項)

 

☆ 全棟一括管理方式における団地型マンションの会計方法

全棟一括管理方式 全棟一括経理の場合 管理費
修繕積立金
区分経理の場合 管理費
修繕積立金 団地修繕積立金
各棟修繕積立金

 

さて、標準管理規約団地型は、管理は一元的に管理するも、お金は団地修繕積立金と各棟修繕積立金に区分して経理することにしていますが、実際は修繕積立金を区分している団地管理組合はまだまだ少ないと思われます。

確かに棟ごとに劣化の進行が異なってくることもあるでしょうが、一つの団地としてコミュニティをつくってきた団地であれば、わざわざ財布を2つに分ける必要があるのかという考え方もできるでしょう。

何でも標準管理規約どおりにすればいいというわけではないので、それぞれの管理組合ごとにメリット、デメリットを十分検討したうえで、規約を改正することをお勧めします。 

...END

 

 

今年もマンション管理士試験が近づいてきましたね。

受験予定の皆様、頑張ってください!

試験日:平成29年11月26日(日)

 

 

 

 

 

 

 

 

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