マンション標準管理委託契約書の改正(H30)

      2018/06/07

「マンション標準管理委託契約書」が今年の3月に改正されています。

今回はこの中身について振り返ってみます。

改正の柱は、

改正個人情報保護法に対応した見直し 標準契約書16条本文&コメント
反社会的勢力の排除条項の新設 標準契約書24条本文&コメント
理事会及び総会支援業務の明確化 別表1の1本文&コメント
その他 標準契約書2条本文、3条コメント

の4つになります。

管理委託契約書とは、マンション管理業者とマンション管理組合の間で協議がととのった事項(管理業者が一方的に提示した内容で契約しなければならないわけではない。)を記載したいわゆる「契約書」のことです。

※ この「契約書」は「マンションの管理の適正化に関する法律(以降、「適正化法」)」により、書面で交付することが管理業者に義務付けられています。

そして「マンション標準管理委託契約書」とは、その名のとおり、管理委託契約書の標準的な仕様・ひな形として国交省が公表しているものですが、管理業者の多くはこのひな形を使って管理委託契約を締結していると思われます。

さて、この「マンション標準管理委託契約書(以降、「標準契約書」」が改正されたのですが、これを機に皆さんの管理組合でも、管理業者との「管理委託契約書」を見直してみることをお勧めしたいと思います。

以下、新旧対照表の表示

赤文字・・・追加   青文字・・・削除

甲:管理組合  乙:管理業者

1. 改正個人情報保護法に対応した見直し 

改正 標準契約書  標準契約書
守秘義務等 第16条

2 乙は、甲の組合員等に関する個人情報について、その適正な取扱い確保しなければならない。

守秘義務等 第16条

2 乙は、甲の組合員等に関する個人情報について、その適正な取扱い確保に努めなければならない。

16条関係コメント②

第2項は、マンション管理業者は、その業務に関して個人情報に接する機会が多く、

個人情報の保護に関する法律を遵守することはもとより、

「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」等を参考にして、個人情報の適正な取扱いの確保を図ることを踏まえた規定である。

16条関係コメント②

第2項は、マンション管理業者は、その業務に関して個人情報に接する機会が多く、

個人情報の保護に関する法律の適用を受ける事業者が本法令等を遵守することはもとより、

適用を受けない小規模事業者等も「国土交通省所管分野における個人情報保護に関するガイドライン」に準じて、個人情報の適正な取扱いの確保に努めるものとされていることを踏まえた規定である。

改正前の個人情報保護法は、取り扱う個人情報の数が5,000以下である事業者は規制の対象外でしたが、改正によりこの制限が撤廃されたため、すべての管理業者が個人情報保護法の規制対象になったことを踏まえての標準契約書の改正となります。

※一方、管理組合については、以前は取り扱う個人情報の数が5,000以下である事業者として規制の対象外でしたが、規制撤廃で管理組合も規制の対象となったことに注意が必要です。こちらの記事をご参考ください。改正個人情報保護法 -管理組合は何をすればいい?

2. 反社会的勢力の排除条項の新設

改正 標準契約書
反社会的勢力の排除 第 24 条

1 乙は、甲に対し、次の各号の事項を確約する。

一 自らが、暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者又はその構成員(以下これらを総称して「反社会的勢力」という。)ではないこと。

二 自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。)が反社会的勢力ではないこと。

三 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、本契約を締結するものではないこと。

四 本契約の有効期間内に、自ら又は第三者を利用して、次の行為をしないこと。

 イ 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為

 ロ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を棄損する行為

2 乙について、本契約の有効期間内に、次の各号のいずれかに該当した場合には、甲は何らの催告を要せずして、本契約を解除することができる。 

一 前項第 1 号又は前項第 2 号の確約に反する申告をしたことが判明した場合

二 前項第 3 号の確約に反し契約をしたことが判明した場合

三 前項第 4 号の確約に反する行為をした場合

24 条関係コメント

本条は、マンション管理業者自身が反社会的勢力に該当しないことを確約し、その確約に反して、マンション管理業者が反社会的勢力であること等が判明した場合には、管理組合は管理委託契約を解除することができる旨を規定したものである。

24条本文にはいろいろと書いてありますが、要はコメントにすっきりとまとめられているとおりです。あとは、(こんなことが起こるとは思えませんが)脅迫的な言動・暴力行為の禁止と、(これはあり得る)偽計・威力を用いての業務妨害・信用棄損行為の禁止が定められました。

3. 理事会及び総会支援業務の明確化

改正 標準契約書  標準契約書
2 基幹事務以外の事務管理業務

(1) 理事会支援業務

① 組合員等の名簿の整備
甲の組合員等異動届に基づき、組合員及び賃借人等の氏名、連絡先(緊急連絡先を含む。)を記載した名簿を整備
する。

② 理事会の開催、運営支援
一 甲の理事会の開催日程等の調整
二 甲の役員に対する理事会招集通知及び連絡
三 甲が乙の協力を必要とするときの理事会議事に係る助言、資料の作成
四 甲が乙の協力を必要とするときの理事会議事録案の作成
なお、上記第3号及び第4号の場合において、甲が乙の協力を必要とするときは、甲及び乙は、その協力方法について協議するものとする。

③ 甲の契約事務の処理
甲に代わって、甲が行うべき共用部分に係る損害保険契約、マンション内の駐車場等の使用契約、第三者との契約等に係る事務を行う。

(2) 総会支援業務
一 甲の総会の開催日程等の調整
二 甲の次年度の事業計画案の素案の作成
三 総会会場の手配、招集通知及び議案書の配付
四 組合員の出欠の集計等
五 甲が乙の協力を必要とするときの総会議事に係る助言
六 甲が乙の協力を必要とするときの総会議事録案の作成
なお、上記第5号及び第6号の場合において、甲が乙の協力を必要とするときは、甲及び乙は、その協力方法について協議するものとする。

2 基幹事務以外の事務管理業務

(1) 理事会支援業務

① 組合員等の名簿の整備
甲の組合員等異動届に基づき、組合員及び賃借人等の氏名、連絡先(緊急連絡先を含む。)を記載した名簿を整備する。

② 理事会の開催、運営支援
一 甲の理事会の開催日程等の調整
二 甲の役員に対する理事会招集通知及び連絡
三 甲の求めに応じた理事会議事に係る助言、資料の作成
四 理事会議事録案の作成

③ 甲の契約事務の処理
甲に代わって、甲が行うべき共用部分に係る損害保険契約、マンション内の駐車場等の使用契約、第三者との契約等に係る事務を行う。

(2) 総会支援業務
一 甲の総会の開催日程等の調整
二 甲の次年度の事業計画案の素案の作成
三 総会会場の手配、招集通知及び議案書の配付
四 組合員の出欠の集計等
五 甲の求めに応じた総会議事に係る助言
六 総会議事録案の作成

2 コメント

① 理事会支援業務は、理事会の円滑な運営を支援するものであるが、理事会の運営主体があくまで管理組合であることに留意する。

② 必要に応じて理事会及び総会にマンション管理業者の従業者を出席させる場合には、あらかじめ出席時間の目安や頻度、理事会及び総会が深夜に及ぶ場合の対応等を決めておくことが
望ましい。

③ 理事会及び総会の議事録は、管理組合の活動の重要な資料となることを踏まえ、マンション管理業者に議事録の案の作成を委託する場合は、その内容の適正さについて管理組合がチェックする等、十分留意する。議事録については、議事の経過の要点及びその結果を記載する必要がある。「議事の経過」とは議題、議案、討議の内容及び採決方法等を指すが、それらの要点を記載することで足り、すべての発言を一言一句記録するものではない。しかし、議事に影響を与える重要な発言は記録することに留意する。
また、マンション管理業者は、管理組合がチェックする上で十分な余裕をもって議事録の案を提出する。

④ 大規模修繕、規約改正等、理事会が設置する各種専門委員会の運営支援業務を実施する場合は、その業務内容、費用負担について、別途、甲及び乙が協議して定めるものとする。

⑤ 総会等の決議や議事録の作成を電磁的方法により行う場合には、事務処理の方法等について具体的に記述することが望ましい。

⑥ 2(2)四の組合員の出欠の集計等の業務を実施する場合は、総会の成立要件とも関係するため、管理組合が事前にチェックできるように十分留意する。
なお、議決権行使書や委任状により議決権を行使する方法について、管理組合からマンション管理業者が協力を求められたときは、その協力方法について、別途、甲及び乙が協議して定めるものとする。

⑦ 理事会支援業務や総会支援業務について、区分所有法及び甲の管理規約に照らし、管理組合の管理者以外の正規に招集の権限があると考えられる者から当該支援業務に関する契約書
に規定する業務の履行の要求があった場合にも、これを拒否すべき正当な理由がある場合を除き、マンション管理業者は業務を履行すべきものである。
ただし、あらかじめ定めた理事会等支援業務の頻度を超える場合の費用負担については、別途、甲及び乙が協議して定めるものとする。

2 コメント

① 理事会支援業務は、理事会の円滑な運営を支援するものであるが、理事会の運営主体があくまで管理組合であることに留意する。

② 理事会及び総会の議事録は、管理組合の活動の重要な資料となることを踏まえ、マンション管理業者に議事録の案の作成を委託する場合は、その内容の適正さについて管理組合がチェックする等、十分留意する。
また、マンション管理業者は、管理組合がチェックする上で十分な余裕をもって議事録の案を提出する。

③ 大規模修繕、規約改正等、理事会が設置する各種専門委員会の運営支援業務を実施する場合は、その業務内容、費用負担について、別途、管理組合とマンション管理業者が協議して定めるものとする。

④ 総会等の決議や議事録の作成を電磁的方法により行う場合には、事務処理の方法等について具体的に記述することが望ましい。

理事会・総会支援業務は、管理組合と管理会社との間で、その業務内容について誤解が生じやすい業務です。詳細に規定されないがゆえに、必要以上に管理会社の負担になったりすることがよくあります。この辺りは、管理組合もよく管理会社と話し合って、どこまでが業範囲内で、どこまでが業務範囲ではないのかを明解にしておきましょう。

  • 理事会議事録案、総会議事録案の作成は当然に管理会社の業務になるのではない。
  • 議事録は議事の経過の要点と結果を記載する(すべての発言を一言一句記録するものではない)。
  • 理事会・総会の参加頻度、時間、深夜に及ぶ場合の対応は事前に管理会社と協議する。
  • 理事長以外からの総会招集についても、原則として管理業者は業務を履行する。

など、どちらかと言えば管理会社に配慮した内容となっています。でもこれらの事項ははっきりさせておいた方がいいですよね、お互いのために。

4. その他

標準契約書第3条(管理事務の内容及び実施方法)のコメントに、近年のマンション管理に関する懸案事項についてコメントが追加されました。

①マンション管理業者に別途委託するコミュニティ活動業務の支援内容の修正

改正 標準契約書  標準契約書
第3条関係コメント①

 第1号から第4号までの管理事務の具体的な内容及び実施方法は別表で示している。

 なお、実際の契約書作成に当たっては、次のような業務をマンション管理業者に委託する場合等個々の状況や必要性に応じて本条を適宜追加、修正するものとする。

一 共用部分の設備等の監視・出動業務

二 インターネット、CATV等の運営業務

三 除雪・排雪業務

四 植栽管理業務(施肥、剪定、消毒、害虫駆除等)

五 管理組合が行うコミュニティー活動の企画立案及び実施支援業務(美化や清掃、防災・防犯活動等)

第3条関係コメント①

 第1号から第4号までの管理事務の具体的な内容及び実施方法は別表で示している。

 なお、実際の契約書作成に当たっては、次のような業務をマンション管理業者に委託する場合等個々の状況や必要性に応じて本条を適宜追加、修正するものとする。

一 共用部分の設備等の監視・出動業務

二 インターネット、CATV等の運営業務

三 除雪・排雪業務

四 植栽管理業務(施肥、剪定、消毒、害虫駆除等)

五 管理組合から委託を受けて行うコミュニティー支援業務

②区分所有者からの専有部分内の設備の修繕等の対応〔新設〕

 マンション管理業者が各区分所有者から専有部分内の設備の修繕等で対応を求められるケースがある。基本的にマンション管理業者の管理対象部分は敷地及び共用部分等であるが、

 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分(配管、配線等)は共用部分と一体で管理を行う必要があるため、管理組合が管理を行うとされている場合において、管理組合から依頼があるときに本契約に含めることも可能である。

 また、こうした業務以外にもマンション管理業者によって専有部分内を対象とする業務が想定されるが、費用負担をめぐってトラブルにならないよう、基本的に便益を受ける者が費用を負担することに留意した契約方法とする必要がある。

③高齢者等の特定の居住者を対象とする業務への対応〔新設〕

 高齢化の進展に伴い、マンション管理の現場においても高齢化の問題が深刻化しつつある。

 こうした状況を踏まえ、マンション管理業者によって主に高齢者等の特定の区分所有者を対象とする業務が想定されるが、費用負担をめぐってトラブルにならないよう、基本的に便益を受ける者が費用を負担することに留意した契約方法とする必要がある。

 ただし、各マンションの個別の事情を踏まえ、マンション全体の居住環境の維持及び向上や防災に資するなどマンション標準管理規約第 32 条第 12 号に該当すると認められる業務は、管理組合から依頼があるときに本契約に含めることも可能である。

 

 

 

 

 

 

 

 

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