駐車場区画の抽選制

   

 

駐車場区画の抽選制(総入れ替え制)

この制度は、広さが同じなど同条件の駐車場が1住戸に1区画、マンション敷地内に確保されているマンションであれば、あまり導入されていないと思います。

(なかには、マンションの出入り口までの距離が近いか遠いかの不公平感をなくすため抽選制を導入することも考えられますが、そこまで考慮しているマンションは少ないでしょう。)

多くは、全住戸分の駐車場をマンション敷地内に確保できない場合、機械式駐車場と平置き駐車場が併存している場合、平置き駐車場のなかで区画の広さが違う場合など、駐車場使用者間の不公平感を緩和するため、数年に一度、駐車場区画を変更することが行われています。

(1)駐車場使用者の決め方

そもそも、駐車場の区画決定については【公平の原則】が必要です。これは、通常のマンションの駐車場は、各区分所有者が共有している敷地に設置されていることから、区分所有者の駐車場使用については、公平に運営・運用しなければならないということは当然の原則です。

(2)抽選制のメリット・デメリット

メリット

・・・共用施設である駐車場を公平に利用できる。【公平性の確保】

これは、共用施設の使用が一部の区分所有者の既得権になって「固定化」するのは不公平であるという考え方から導かれています。

デメリット

・・・抽選の結果、割り当てられた駐車場に車両が停められなくなってしまう場合がある(区画が狭い、車両の高さ制限に引っ掛かる等)。または、そういう事態をあらかじめ想定し、駐車場を固定できないという不安定さを回避するために、自ら外部の民間駐車場を契約する区分所有者が増え、マンション内駐車場の空き区画が増加してしまう場合など

【負の連鎖の発生】

  抽選外れリスクの回避 

  マンション内空き区画の増加 

  駐車場収入の減少 

  管理費(一般)会計のひっ迫 →

  管理費の増額 →

  駐車場を利用しない居住者も含めた問題に移行

(3)抽選制(総入れ替え制)導入の前提・条件

抽選制のメリット・デメリットから考えると、

★駐車場の抽選制(総入れ替え制)を導入するには、駐車場の状況がある程度公平な条件(駐車車両の制限がなく、区画位置などによる格差があまりない等)で使用できる前提が必要。

★区画の大小がある場合は、「停めれない車両はどう対応するのか」を考えなければならない。

★駐車場の一部に出し入れの困難な区画などがある場合、そもそもそれがあること自体、事故の危険性があり、駐車場全体の設計の改善を図ることも考える必要がある。

(4)駐車場に関する3つの判例

①「抽選入替え制」を「使用者固定制」に変更した事例の判例

   抽選制  ⇒ 半永久制 

    ・・・特別決議が必要(規約変更にあたる)

②「使用者固定制」を「抽選入替え制」に変更した事例の判例

   半永久制 ⇒ 抽選制  

    ・・・普通決議で変更が可能(永久使用権は保護されない)

③ 当初からの使用者をそのままにして、「使用者固定制」を細則で定めた事例の判例

    制度なし ⇒ 半永久制 

    ・・・特別決議が必要(細則ではなく規約に定めることが相当)

これらの結果から判例は、共用部分の使用を一部の者だけに利益となるように変更するケースでは、厳しい制約(特別決議)を課し、一方、半永久制を抽選制に変える場合には普通決議で可能としています。

(5)抽選制導入の手順

① 駐車場抽選制を求める区分所有者の意見の集約

② 総会、理事会等で抽選制導入の進め方等を協議

③ 必要に応じて、専門委員会の設置

④ アンケートによる実態、意向調査の実施

⑤ 抽選制導入案の提示、検討(説明会の開催等)

⑥ 途中段階での住民意向等アンケート調査(事前の票読み)

⑦ 総会決議(普通決議 ※規約に定めるのであれば特別決議)

※総会における決議が必要となる以上、区分所有者相互が相当程度に理解しあうことが必要です。そうしないと、承認されても否認されても、区分所有者間にしこりが残り、あとあと別の場面でもコミュニケーションがうまくいかなくなることになります。(当然、総会で反対多数で否決されることもあり得ます。)

今回は、駐車場の抽選制について書きましたが、マンションの駐車場についてはその他に迷惑駐車、防犯、来客用駐車場、空き駐車場、機械式駐車場の維持費、駐車場使用料の会計区分など様々な問題があります。機会があれば、今後これらの問題についても記事にしていこうと思います。END

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